コラム(東入間よみうり連載)


「東入間よみうり」(読売新聞地域版。月1回ふじみ野市、富士見市、三芳町の二市一町に50000部発行)にスポーツコラム『総合型地域スポーツクラブで地域は変わる!』を8月号より連載しました。

連載コラム 「総合型地域スポーツクラブで地域は変わる!」

1月号

(第5回) 『見る』地域スポーツの場づくり

  スポーツは、自らプレーし楽しむ以外に、見て楽しむことにも大きな魅力があります。自らプレーせずともTVでの試合観戦やスポーツニュースを見たり、またスタジアムやアリーナでのスポーツ観戦を楽しみとしている方は、少なくないでしょう。そして地域という場にうつすと、またその楽しみも方も変わってきます。

 地域の年配のある女性が言いました「私はインターネットやパソコンを使うのは苦手だけど、孫がスポーツのチームに入っていて、その試合結果をホームページで見るのが楽しみなのよ。それを<お気に入り>に登録しているの。そういうページが、もっとあればいいのにね」。また地域の年配男性も「定年するまでは、あまり地域活動に関心がなかったけど、今は地元高校スポーツの試合観戦に行くのが楽しみなんだよ。そこに孫がいるわけではないんだけどね。ただいつ試合があるのか分からなくて、もっと分かるといいんだけどね」と楽しそうに話してくれました。「見る」手段をもっと増やし広げれば、年配者の幅広い世代の人達がスポーツを「見て」楽しめるわけです。

 また、総合型地域スポーツクラブの活動をしていると、「スポーツをしたいのですが、どこにいけばこの種目が出来ますか?」という問い合わせを受けたりします。地域においてまだまだ地域スポーツの情報は不足していると感じます。『見る』地域スポーツの場づくりが進められることは、地域スポーツ普及にも繋がると感じます。
 

11月号
(第4回) 無償ボランティアの問題点

 地域スポーツの現場にいると、様々な指導者や運営を支える方々に出会います。休日を返上し、子供たちや地域の人達のために活動されている、そういう熱意ある方々の力によって、今日の地域スポーツの現場が、つくられてきていることは言うまでもありません。

 ただ、個人による活動には限界があるのも事実です。怪我や病気、仕事の都合や家庭の事情などにより続けられなくなることから、その活動に与える影響は大きく、活動自体が続けられなくなるケースも少なくありません。多くの無償ボランティアによる現場をみてきて知った問題点は、そういった無償で「ささえる」人達の長年の活動に対する疲れや意欲低下、無償ボランティアゆえの責任の不明確さ、個人に依存しすぎるあまり閉鎖的になり改善が行われにくい体質になることです。

 国は、総合型地域スポーツクラブにおいて『受益者負担・自主運営』という考え方の住民への浸透をすすめていますが、実際地域スポーツの現場では「スポーツをするのにお金を払うのは、民間など営利目的の活動であり、地域スポーツの現場をささえる人達は、無償ボランティアがあたりまえ」というイメージがあるようです。しかし、それは極端な話です。必要性に見合った参加費による「ささえるスポーツ」の仕組みづくりは、責任をある程度明確にでき、常に地域の誰もに開かれ、地域に根づいた長期の活動継続に繋がっていくのではないでしょうか。
 

10月号
(第3回) スポーツが地域課題の対策に

スポーツが、私たちひとりひとりに、もたらす効果は、体力の向上やストレス解消、病気予防など様々です。ただし、私たちが暮らす地域の課題対策という視野で見ると、さらに大きな意味を持ってきます。

 例えば、高齢者増加による医療費増大の問題。ある街において、総合型地域スポーツクラブにより、地域内のスポーツ活動が盛んになった結果、通院する高齢の患者が減ったという事例があります。また、子どもの居場所づくりの問題。ある学校の先生から「今の子供たちには遊ぶ場がないんです。かわいそうですよ」という言葉を聞きました。さらに最近驚いたのは、体育館ロビーに集まり、ゲームをやっている子ども達。違和感がありましたが、安心して楽しむ場が、外になくなってきている子供達にとっては、必然の流れなのかもしれません。

 総合型地域スポーツクラブは、地域の人達が主体となり、世代を超え、安心して楽しめる場を大人達がつくっていき、支えていくコミュニティの場でもあります。ひとむかし前のような地域内コミュニケーションが、成り立たなくなってきている現在、地域内コミュニケーション活性化の新しい手段として大変有効だと思われます。
 

9月号

(第2回) 『競技スポーツ』と『生涯スポーツ』

 我が国のスポーツ推進は、種目の専門性や豊富な運動力を必要とする「競技スポーツ」と未経験者でも参加可能な「生涯スポーツ」に2つ大きく区別されてきました。このことにより多くの人達に「する」スポーツの場が提供されてきました。

 しかし、競技スポーツは、歳をとると出来ない、一方生涯スポーツは、マイナーで年配者がするようなスポーツであるというイメージを生んでしまっているのも事実です。

 米国で60、70歳の婦人達同士のバスケットボールリーグがあり、真剣に試合をしている様子が、あるテレビの番組で流れました。子や孫たちは家族全員で一生懸命応援し、孫たちは「僕のおばあちゃんカッコいいでしょ」と誇らしげに言っていました。

 総合型地域スポーツクラブにおいて、競技スポーツ、生涯スポーツの区別はありません。スポーツの場づくりで必要視点は、『ニーズにあったスポーツの場があるか』です。そこに種目は問われませんし、2つの区別を感じないスポーツの場が出来ていけば、本当の意味で地域はスポーツという言葉で繋がり、みんながより活き活きするのではないかと思います。
 

8月号
(第1回) 総合型地域スポーツクラブって何?

 『総合型地域スポーツクラブ』という言葉をご存じですか? 1995年度の文部科学省「総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業」から始まり、現在も推し進められる、地域スポーツ普及推進・育成活動です。「子どもから年配者(多世代)、未経験者から経験者(多レベル)、複数種目」をもつ活動をテーマに、スポーツの場を地域につくろうという動きです。

 新たなスポーツの場づくりの話をすると「既にスポーツの場はあるし、必要ないのではないか?」という声がかえってきます。はたしてそうでしょうか?

 こんな話があります。ある地域住民の会議で「既にスポーツの場はいろいろあって、みんな参加しているし必要ないだろう」と言ったところ、子を持つお母さんが言いました。「みんなって誰のことですか?私の子どもは少し障害を持っています。本当はスポーツしたいのですが楽しむ場がないのです」。それからその地域は真剣にスポーツの場づくりに取り組むようになりました。

 今まであった環境からの観点では、気がつかないかもしれませんが、地域スポーツの場は変わっていく必要があるのではないでしょうか。